伝統芸能と身体理論。
本日は昨年から興味を持つようになりました、
日本の伝統芸能である「能」と、現代にも通ずる「身体との関係性」について書き進めていきたいと思います。
「能」と身体理論
元々、小さい時から「和」に関するものが好きではあったのですが、
日本の伝統芸能である「能」については何も知らず、触れたことすらない現状でありました。
その中で、昨年あるアドバイスをきっかけで「能」について関心が沸くようになり、
「テレビか動画で、超初心者でもわかりやすい能の作品はないものか?」
と思っていたところ、
野村萬斎さんの舞台を特集した番組に運よく出会えることに。
野村萬斎さんといえば、映画「陰陽師」などで俳優としても活躍されているので
馴染みがあるし、これは観ておかなければ!
と思い、早速その番組を観ることにしました。
その番組で野村萬斎さんが実際に舞台で表現されている姿を観て
「めっちゃスゴイ!」
「感動した!」
という感想だけでなく、その「表現」以外の部分からも学べたことが多くありました。
それは、「能」の中における「姿勢」であり、「発声」であり、「歩き方」であり、それらを含めた「身体の使い方」です。
自分の人生を振り返った時に、いつも何かしらのスポーツに挑戦したくなる、スポーツに関する仕事、モデル業など...
「身体の使い方」と深く関わる物事に携わる機会が多く、
また、自分もその「身体の使い方」に何故か魅かれ、今に至るまで、日々探求してきました。
その自分が探求し、経験してきたものが「能」の動きの中に凝縮されていたので、これは本当に驚きの発見となりましたね...
「能」と身体の使い方
野村萬斎さんの舞台での動きを観ていると、直立した姿勢から脚をすっと上げる動作が多くあります。
最初に驚きだったのが、この脚を上げる動作を行うときに身体が一切ブレないのです。
軽いトレーニングウェアだとしても、脚を上げる動作を繰り返していると上半身に多少のブレが起きるものですが、
あの見るからに重量感のある着物を着ている状態で身体が一切ブレずに、脚だけがスッと上がっている...
しかも、どの動きを見ても、身体がブレずに四肢だけが華麗に動く。
その動きは本当に美しく、一流のアスリートの動きを観ているかのような感覚を受けます。
また、脚だけがスッとキレイに上がるというのは、「体幹」が機能的に使われている証拠であり、
このブログでも度々触れてきている「大腰筋」がしっかりと使えているからこそ可能にしている身体的な動きであると言えます。
このように、「能」の動きを美しく表現するためには、
「体幹」を使う。
「大腰筋」を使う。
この感覚が必然的に重要になってくるとも考えられます。
現代のフィットネス・トレーニング理論は、数千年前から存在していた!?
現代のフィットネス業界、トレーニング、ウォーキング、健康法...などで、当たり前のように耳にするようになった、
という考えは...
「能」の起源といわれている数千年前から、
その「体幹」や「インナーマッスル」を使う意識が徹底されていたのでは??と考えられます。
(もちろん「体幹」や「インナーマッスル」という言葉で表現されていなかったと思いますが...)
また、様々な身体のトレーニング理論や健康法、身体の仕組みを知っていくたびに
「これは新しい発見だ!!」
という高揚感を常々感じてきましたが、
今回のように伝統芸能に触れることにより、
実は、それは新しい発見ではなく...
元々、数千年前からある時まで日本人の人達は感覚的に理解していたものではありながらも、
様々な文化を知り、入り混じることで、忘れさられていった...
それを、今、言葉や表現が変わり、フィットネス・トレーニング理論や健康法として
「ただ、思い出しているだけなのかもしれない。」
っと、
新しい事実を発見しているようでありながらも、すでに在るものを思い出しているだけ。
とさえ思えてきます。
これは、ある意味、
日本人の食生活において「お米」や「和食」の素晴らしさが現在、見直されてきているように、
身体の使い方、歩き方、姿勢、呼吸、健康法...などにも、日本に元々在る、伝統的なものから見直し、活かせる知恵があるはず。
という発想に近いものでもあります。
最後に
今回の記事の最後に、
この度、僕自身が「能」の素晴らしさと様々な可能性を知るきっかけとなった作品の動画がありましたので、ご紹介しておきたいと思います。
それは、野村萬斎さんが「能」とラヴェルの「ボレロ」を融合させた作品「MANSAIボレロ」です。
その「洋」と日本の伝統芸能の「和」が完璧に調和されており「能」を知らない僕でも感動することができ、衝撃を受けた作品でした。
特に、重量感を感じられる衣装を纏いながらも、一つ一つの動作で身体が一切ブレることなく演技を続けられる野村萬斎さんの「身体の動き」は必見です。
ブレない身体の使い方から生み出させれる「動き」は、理屈抜きで美しさを感じられます。
(動画はこちらになっております。)